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OpenStreetMapマッピングパーティに参加してきた 後編

 

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 <つづき>

 

 11時になり、15人程度のメンバーが集まりました。メンバーは、主催であるCode for Hachiojiの方々、今回地図を編集するための場所を提供してくれる東京工科大学竹田研究室の方々、行政関係の方々、あと私を含め趣味の人などで構成されていました。そこで、簡単な挨拶と自己紹介を済ませたあと、サーベイ(Survey、現地調査)の具体的手順について解説されました。

 

サーベイとは

 サーベイで調査する地物とは、OpenStreetMapにおいて大まかに3つの要素からなります。点を定義する「node」、線を定義する「way」、面を定義する「relation」です。nodeは、その内部に人間の活動範囲が存在しないような小さな地物、例えばベンチ、井戸、自動販売機などがそれに当たります。wayは、特に意味を持たないnodeを線で結ぶことによって、川や道路、境界線などを示します。relationは、特に意味を持たないnodeを結ぶ線によって囲まれた範囲で、多くの建造物などを示します。

 地物には、多くのキーを定義することができます。共通のキーとして名前、車椅子での利用可否等があり、その他のキー、例えば池、駐車場、トイレ、階段…等でより具体的な地物の属性を表します。

 

 サーベイでは、既存のOpenStreetMapの地図をA3用紙に印刷したものをバインダーに挟み、地形上に存在するあらゆる地物を赤ペンで記入します。その場ですべての情報を書き取るのは無理があるので、地物の写真を撮っておきます。こうすることで、例えば

自動販売機の位置を地図に記し、写真によって紙幣の利用の可不可などを確認することができます。

 GPSでログを取ることによってより正確に位置を知ることができますが、今回は山中のせいか余り正確なデータが得られませんでした。

 

サーベイ開始

  ケーブルカーの高尾山駅から薬王院まで少し歩きます。

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  ぞろぞろ

 

 さて高尾山薬王院に到着し、いよいよマッピングを開始します。階段の段数など細かいことは経験者に任せて、ひたすら地物をメモっては写真を撮るの繰り返し、計50枚ほどの写真を撮りました。(薬王院そのものの写真は撮り忘れました)

 

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自動販売機は施設(Amenity)だから、キーは「amenity = vending_machine」。

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掲揚柱(旗を掲げるために作られた長い柱)は建造物(Man Made)だから「man_made = flagpole」。

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 消火栓は緊急設備(emergency)だから「emergency = fire_hydrant」。

 

 とまあこんな感じで約1時間半。ケーブルカーを使わず1号路を登ってきたことも堪えて、いい加減疲れてきたところで撤収。下りはリフトに乗りました。天気がいいので眺めもいいですね。

 

そして東京工科大学

 

 

 

 前編で紹介したこの写真の中央の建物

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  そうこれが東京工科大学八王子キャンパス片柳研究所、今日の2番目の目的地です。

 

 京王高尾山口駅から高尾駅で乗り換え、JR中央線八王子駅へ向かいます。コンビニで適当に昼食を買い漁ったあと、スクールバスでキャンパスへ。

  確か11階(うろ覚え)の竹田研究室でノートPCを起動します。そして正面のホワイトボードでは今回の講師である山下康成氏によってOpenStreetMapマッピングの解説が行われました。内容は前編の内容と大体同じです。

 

 それでは早速サーベイの内容を登録しましょう。OpenStreetMapはブラウザ上でも編集できますが、今回は事前にインストールしてきたJOSMという専用の編集ソフトで編集します。

 

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 まず、既存の左上のダウンロードボタンを押してOpenStreetMapのデータをダウンロードします。

 

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  既存のOpenStreetMapのデータを編集する範囲だけダウンロードします。

 

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 するとこのように黒い背景で地図のデータが表示されます。画像タブで航空写真を追加することもできますが、とりあえず必要ないので表示しません。

 

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  左の「ノードを編集」を選択し、地図上をダブルクリックすることでノードが生成され、赤い点として表示されます。とりあえず先ほど撮影した消火栓を登録しようと思います。

 

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 「プリセット」タブから消火栓を検索、選択すると、右図のようなプロパティが表示されます。OpenStreetMapはイギリス発祥のWebサービスのため、先程撮った写真のような日本式の消火栓の種別がありません。残念ですがデフォルトの「柱」のままにしておきましょう。あとはアップロードするだけです。

 

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 ダウンロードボタン右横のアップロードボタンを押すと、上図のようなウィンドウが表示されます。他人が見てもひと目で分かるように概略コメントを記し、サーベイによって得た情報なのでソースには「survey」と記入します。

 OpenStreetMapに未ログインの場合はログインし、数秒でアップロードは完了です。全世界のOpenStreetMapでこの情報を閲覧することが可能になります。

 

 

 のような流れで一人数点の地物を登録したところで終了時刻の5時半になってしまったので、これで今回のマッピングパーティの行程はすべて終了です。いやーなかなか面白い体験ではありました。なんというか地図オタクの集団みたいな人たちでした。

 

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帰りの東京工科大

 

総括

  今回の全体を通して感じたことは、講師である山下康成氏が途中で何度もライバル視していたGoogle Mapsの存在です。日本ではゼンリンが測量したものですが、欧米ではGoogleが測量したものを利用しているため、申し訳ないながらもGoogleの偉大さを再実感することとなりました。私も普段はGoogle Mapsを利用しますし、送電線を調べようと思わなければOpenStreetMapマッピングに参加することもなかったでしょう。営利組織が半自動化して地図を作成するのと、ボランティアが人海戦術で地図を作るのではやはり前者のほうが均一で良質なものができるでしょう。確かに、OpenStreetMapではマッパーが一般人独自の目線で情報を追加できるということが利点に挙がりますが、Google MapsもローカルガイドというGoogle Mapsのアプリを利用している人なら誰でも参加できる情報投稿システムがあります。

 他にも、OpenStreetMapの航空写真はbing航空画像を利用しているのですが、全体的な精度はGoogleの方が上ですし、GoogleにはGoogle Earthという米国全土の3Dマップサービスもあります(日本では一部のみ3D化済み)。

  正直、労力の割にはOpenStreetMapGUIやシステムの点でGoogleに劣っていると考えますが、Googleが完璧かというとそうも思いません。WebGLの発達からもより良い地図サービスの誕生は可能だと考えます。そのためにはマッパーよりもシステムエンジニアがシステムの改良に気軽に参加できるよう新たな体制が必要だと思いました。

 

 以上、今回のマッピングパーティを企画してくださったcode for Hachiojiの方々、講師の山下康成氏、場所を提供してくださった、東京工科大学竹田研究室の方々、初参加の私を快く受け入れてくれた参加者の皆様、素敵な体験をありがとうございました。

 

 

 

   <おわり>